今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 大鳥精司 千葉大学

監修: 酒井昭典 産業医科大学 整形外科学教室

著者校正/監修レビュー済:2025/02/26
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

概要・推奨   

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 化膿性脊椎炎は頚椎から仙椎にかけて、細菌が感染し、椎体や椎間板を破壊していく病態である。その内訳は頚椎(9%)、胸椎(14%)、胸椎(11%)、腰椎(66%)と腰椎に多い[1][2]
  1. 感染経路としては、血行感染であり、咽頭炎、慢性副鼻腔炎、消化管内感染、結核病巣などが考えられる。
  1. 最近では医原性の感染があり、硬膜外注射、椎間板穿刺、インストゥルメンテーションを使用した術後などが挙げられる。
  1. リスクファクターとして糖尿病(34%)、悪性腫瘍(8%)、肝硬変(3%)、透析(2%)、ステロイド歴、過去の感染の既往、高齢者などcompromised hostによる日和見感染としての発症も増加している。
  1. 起炎菌の同定は50~60%とされている。黄色ブドウ球菌を代表としたグラム陽性菌が多いが、大腸菌やグラム陰性菌も検出されている。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、結核、真菌などの発症も増加している[3]
  1. 主な症状は発熱、強度の背部痛である。
  1. ただし、高齢者の場合は発熱を伴わない場合も多く、注意を要する。
  1. 脊椎からの感染が硬膜外に伸展すると脊髄、馬尾神経障害をもたらし、上下肢痛、麻痺、排尿排便障害などの多彩な症状を呈する。
 
  1. 高齢者が増加し、化膿性脊椎炎、脊椎カリエスの症例数も増加している。
  1. 疫学として、60歳以上の割合が55%、そのうち40%は何らかの免疫力低下を伴っていると考えられている。
  1. 化膿性脊椎炎、脊椎カリエスは日常見逃しやすい疾患である。臨床像として、背部痛、発熱を伴う場合には診断は比較的容易であるが、発熱を伴わない場合、診断の遅れとなる。
  1. 特に高齢者においては悪性腫瘍、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症が同様な所見を示すので注意を要する。
  1. 診断の遅れが報告されており、その期間は2~6カ月のdelayといわれている。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 発症時期を確認する。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
大鳥精司 : 未申告[2024年]
監修:酒井昭典 : 講演料(旭化成ファーマ(株),日本臓器製薬(株),帝人ヘルスケア(株))[2024年]

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化膿性脊椎炎、脊椎カリエス

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