今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 宇野漢成 上福岡医院

監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門

著者校正/監修レビュー済:2021/06/23
参考ガイドライン:
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 重症PRの診断指標を列挙した。 

概要・推奨   

  1. 心エコー検査(推奨度1)。 
  1. 心エコーで診断が不十分な場合は心臓MRIを行う(推奨度1)。 
  1. 上記のいずれも施行不能か、結果が得られない場合は心臓CT(推奨度2)

病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 肺動脈弁閉鎖不全症(pulmonic regurgitation;PR)とは、拡張期に肺動脈から右室へ血液が逆流する疾患である。
  1. PRのなかで成人に最も多いのは、肺高血圧症に起因する二次性PR(肺高血圧→弁輪拡大→PR)である。単独のPRが原因で臨床上問題になることは非常にまれである(<図表><図表>)。本項の扱うPRは全て中等度以上とする。
  1. その他のPRは主に先天性心疾患に由来し、特にFallot四徴症根治手術後の遠隔期PRが最近増えている。
  1. Marfan症候群など、肺動脈が拡大する疾患はPRの原因になる。
  1. 後天性PRの原因として、感染性心内膜炎、リウマチ性弁膜症、心カルチノイドなどがあるが、いずれもまれである。
  1. 高度の慢性PRは容量負荷によって右室拡大を来すが、心筋が正常な右室は容量負荷に強いので問題になることが少ない。しかし、肺動脈弁狭窄症や中等度以上の肺高血圧を合併する場合は、圧負荷に弱い右室の収縮障害を来すので、右心不全が起きやすくなる。
問診・診察のポイント  
問診:
  1. PRによる症状はない。PRの原因疾患に由来する右心不全症状が主である。具体的には心拍出量低下による易疲労感、静脈うっ血による食欲不振、吐き気、心窩部不快感、下肢浮腫、合併する肺高血圧症の息切れが前面に出る。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
宇野漢成 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:今井靖 : 未申告[2024年]

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肺動脈弁閉鎖不全

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