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著者: 元山宏行 大阪公立大学 肝胆膵病態内科学

著者: 河田則文 大阪公立大学 肝胆膵病態内科学

監修: 持田智 埼玉医科大学 消化器内科・肝臓内科

著者校正済:2023/08/16
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本消化器病学会日本肝臓学会:肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、以下について主に加筆した。
  1. 疫学:世界の肝硬変の原因は国と地域によりその頻度は異なる。日本ではHCVが最多(49.2%)であるが60.9%(2008年)と比較すると減少傾向である。世界的にはNASH 59.5%、次いでHBV 28.7%であった(GBD 2017 Cirrhosis Collaborators. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2020 Mar;5(3):245-266.)。
    2020年には肥満、糖尿病、高血圧症や脂質異常症などの代謝異常を組み入れ基準としたMAFLD(Metabolic dysfunction-associated fatty liver disease)が脂肪肝の新しい疾患概念として提唱されており、肝硬変の成因として今後どう位置づけられるか検討課題となっている。
  1. 診察:代償期の肝硬変患者は全身倦怠感、易疲労感、食欲不振などの症状を認めることもあるが、特徴的な症状を呈することは少ない。非代償期に進行すると上記症状の増悪や腹部膨満感や意識障害が出現する。また、有痛性の筋痙攣などの身体所見がないことを確認する。
  1. 組織学的検査:肝硬変の診断のゴールドスタンダードは組織学的診断であり、経皮的もしくは腹腔鏡下肝生検による組織学的診断は確定診断として有用である。肝生検を含めた診断が望ましいが、侵襲的検査であり出血のリスクや評価者による診断バイアスなどあることから現状は臨床所見からの診断となることが多い。プライマリケアにおいて血小板値10万/µL以下は肝硬変を疑うべきである。診断されれば、専門医への紹介、予備能評価をすぐに行うのがポイントである。
  1. 血液検査:ヒアルロン酸、Ⅳ型コラーゲン7S、プロコラーゲンⅢペプチド(P-Ⅲ-P)、M2BPGi(Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体)、オートタキシンなどの線維化マーカーは日常診療で広く用いられている。
    また、非侵襲的な肝線維化の評価方法として複数の血液生化学的検査所見を組み合わせた FIB-4 index〔(年齢×AST)/(血小板×√AST)〕、APRI(Aspartate Aminotransferase to Platelet Ratio Index)、ELF scoreなど複数のスコアリングシステムが使用されている。各項目の診断能や簡便性、コストなどからスクリーニング検査として FIB-4 index が有用であると考えられている。
  1. 画像検査:超音波検査、CTやMRIで肝表面の凹凸不整、右葉委縮・左葉腫大、脾腫や腹水などの所見から肝硬変と診断できるが、線維化の進行した慢性肝炎と初期の肝硬変を区別することは困難である。近年、肝硬変の早期診断方法として超音波やMRIを用いて肝硬度を測定するエラストグラフィーの有用性が報告され、わが国でも保険診療での測定が可能である。
    Transient elastography(TE、FibroScan)は、パルス振動波の組織内伝播速度を測定し肝硬度を弾性値(kPa)として定量化が可能である。カットオフ値は基礎疾患によって異なりC型慢性肝疾患 11.8~26.5kPa、B型慢性肝疾患7.3~17.5kPa、アルコール性肝疾患12.5~22.7kPaと報告されている(日本消化器病学会.南江堂.2015;195.)。
    MRIベースである MR elastography(MRE)は、 Transient elastography と比較し肥満など患者の体型の影響を受けにくいだけでなく早期肝細胞癌のスクリーニングにも有用であるが、費用や撮像時間の問題がある。

概要・推奨   

  1. 肝硬変は慢性の炎症と肝細胞障害の結果であり、肝臓全体に線維化と線維化に伴う結節形成が解剖学的に認められる状態と定義され、慢性肝疾患の末期状態である。
  1. 主な原因は肝炎ウイルスやアルコール摂取、脂肪肝などがある。近年、生活習慣に基づく脂肪性肝炎が増加しており、とくに若年女性での酒量増加が増えてきているため、今後注意が必要である。
  1. 症状は全身倦怠感、易疲労感、食欲不振などを認めることもあるが、特徴的な症状を呈することは少ない。非代償期に進行すると上記症状の増悪や腹部膨満感や意識障害が出現する。また、有痛性の筋痙攣などの身体所見がないことを確認する。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
元山宏行 : 特に申告事項無し[2023年]
河田則文 : 未申告[2023年]
監修:持田智 : 講演料(ギリアド・サイエンシズ(株),アッヴィ合同会社,あすか製薬(株),東レ(株),大塚製薬(株),エーザイ(株))[2023年]

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