今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 杉本由香 三重大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学

監修: 宮﨑泰司 長崎大学病院血液内科

著者校正/監修レビュー済:2024/12/11
参考ガイドライン:
  1. British Committee for Standards in Haematology:Guidelines for the diagnosis and treatment of cobalamin and folate disorders. Br J Haematol, 2014.
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、典型的症例と難渋例の報告を追記した。

概要・推奨   

  1. ビタミンB12が欠乏すると活性型葉酸が欠乏するため、葉酸欠乏と同様の血液学的異常を示す(推奨度1)
  1. 小球性貧血を示す疾患と合併した巨赤芽球性貧血では、MCVが正常値あるいは低値を示すことがある。すなわち、全自動血球計数器でMCV値が高値である大球性貧血でなくともビタミンB12欠乏あるいは葉酸欠乏による貧血が潜在することも念頭に置く必要がある(推奨度1)
  1. ビタミンB12が欠乏すると、血清または尿中メチルマロン酸が増加する(推奨度1)
アカウントをお持ちの方はログイン
  1. 巨赤芽球性貧血ではビタミンB12欠乏による神経症状を高頻度に併発する。
  1. ビタミンB12欠乏に葉酸を投与すると神経症状が悪化することがあるので、葉酸単独投与は行わない(推奨度1)
  1. 食物を介して十分に摂取しているにもかかわらず、吸収不良によりビタミンB12欠乏を来すFood-cobalamin malabsorption症候群が提唱されている(推奨度2)
  1. H2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬、メトホルミンの長期使用がビタミンB12吸収障害の原因となり得る(推奨度2)
  1. わが国におけるビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血に対する治療では、ビタミンB12の投与は筋注あるいは静注で行われているが、欧米ではビタミンB12は経口摂取量の約1%が内因子を必要としない受動的拡散により吸収されるという考え方に基づき、経口投与を行い、その有効性が報告されている(推奨度2)
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要と
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要と
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契
  1. 抗内因子抗体陽性の悪性貧血症例では血清中のビタミンB12の濃度が偽高値として測定されることがある(推奨度1)

病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 巨赤芽球性貧血とは、骨髄に核と細胞質の成熟度の解離した巨赤芽球がみられる貧血で、ビタミンB12あるいは葉酸の欠乏などによるDNA合成障害が原因で発症する。
  1. DNA合成障害のため、巨赤芽球を含む巨赤芽球系細胞の多くは骨髄内でアポトーシスにより死滅し、無効造血を来す。DNA合成障害による無効造血は白血球系細胞と巨核球系細胞にも及び、汎血球減少を呈する。
  1. 生体のDNA合成障害は細胞増殖の最も活発な血液細胞に強く影響を与えるため、貧血(血球減少)が他の症状に先行して出現する。
  1. ビタミンB12が欠乏すると活性型葉酸が欠乏する。ビタミンB12欠乏と葉酸欠乏が血液学的に同様の所見を呈するのはこのためである。
  1. ビタミンB12欠乏の原因は悪性貧血、胃切除後などによる吸収不良、菜食主義などによる摂取不足が主なものである。
  1. 悪性貧血とは、胃酸分泌粘膜の萎縮によりビタミンB12の吸収に必要な内因子の分泌不全が生じ、その結果としてビタミンB12の吸収不全が原因となるビタミンB12欠乏による貧血のことをいう。
 
  1. ビタミンB12が欠乏すると活性型葉酸が欠乏するため、葉酸欠乏と同様の血液学的異常を示す(推奨度1)
  1. ビタミンB12はホモシステインからメチオニンを生成させる反応の補酵素として機能する。この反応により貯蔵型葉酸は活性型葉酸に変換される。ビタミンB12が欠乏すると活性型葉酸が欠乏し、葉酸が補酵素である細胞内反応に障害が生じる。ビタミンB12欠乏と葉酸欠乏が血液学的に同様の所見を呈するのはこのためである。葉酸の機能で重要なものは、DNA合成系とりわけチミジン合成とプリン合成への関与である。葉酸が欠乏すると、チミジンの代わりにウリジン塩基がDNAに組み込まれ、DNAの切断が修復されず、DNAが断片化され細胞外へ漏出する[1]。また、プリン塩基の合成障害も起こり、DNAの合成障害を招く。
 
ビタミンB12が欠乏すると活性型葉酸が欠乏するため、葉酸欠乏と同様の血液学的異常を示す。

出典

片山直之先生ご提供
問診・診察のポイント  
  1. 貧血症状があれば進行具合を尋ねる(ビタミンB12欠乏では貧血症状が徐々に進行)。
  1. 年齢を確認する(悪性貧血は高齢者に多い。悪性貧血では年齢の割に白髪が目立つことがある)。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
杉本由香 : 講演料(ファーマエッセンシアジャパン(株),ノバルティスファーマ(株)),研究費・助成金など(インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社,東洋鋼鈑(株))[2024年]
監修:宮﨑泰司 : 未申告[2024年]

ページ上部に戻る

巨赤芽球性貧血

戻る