今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 西山 充 高知大学 保健管理センター

監修: 平田結喜緒 公益財団法人 兵庫県予防医学協会 健康ライフプラザ

著者校正済:2024/08/21
現在監修レビュー中
参考ガイドライン:
  1. 日本内分泌学会:間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン 2023年版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、最近の文献(臨床研究・ガイドライン)をいくつか追加・改訂した。
  1. 近年、抗がん剤として用いられる免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象として、下垂体機能低下症が惹起される事例が増加している。わが国の前向き研究では、抗PD1抗体では6%、抗CTLA4抗体では24%にみられ、ACTH単独欠損症を来す症例とACTHを含む複数の下垂体前葉機能低下症を来す症例に大別される(Kobayashi T, et al. J Immunother Cancer. 2021 May;9(5):e002493.)。
  1. また、症例を提示した。
  1. 関節拘縮という非典型的な症候により発症、検査異常(高CPK血症)および既往歴(分娩時大量出血)を契機に汎下垂体機能低下症(シーハン症候群)の診断に至った症例である。詳細は本文を参照されたい。

概要・推奨   

  1. 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌低下症:ヒドロコルチゾン15〜20 mg/日を朝・夕2回に分けて補充する(推奨度1)。感染症、発熱、外傷などのストレス時は2〜3倍に増量する。
  1. 甲状腺刺激ホルモン(TSH)分泌低下症:少量のレボチロキシン(12.5μg〜25μg/日)より開始し、2〜4週間ごとに徐々に増量、甲状腺ホルモン値がFT4基準値上半分となるよう用量調整する(推奨度2)。ACTH分泌低下症を合併する場合は、ヒドロコルチゾン補充開始数日後にレボチロキシンを開始する。
  1. ゴナドトロピン(LH, FSH)分泌低下症:男性では男性機能の維持を目的としてテストステロン注射による補充を、女性では無月経の程度によりホルムストローム療法やカウフマン療法を行う(推奨度2)。一方、妊孕性獲得を目的とする場合、男性ではhCG-FSH療法を、女性では排卵誘発療法(クロミフェン療法、hCG-FSH療法)を行う。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
西山 充 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:平田結喜緒 : 特に申告事項無し[2024年]

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