今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 吉岡成人 NTT東日本札幌病院

監修: 野田光彦 国際医療福祉大学市川病院 糖尿病・代謝・内分泌内科

著者校正/監修レビュー済:2024/09/18
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、症例を追加した。

概要・推奨   

  1. 糖尿病ケトアシドーシス(DKA)は、高血糖(≧250 mg/dL)、高ケトン血症(β-ヒドロキシ酪酸の増加)、アシドーシス(pH≦7.30、重炭酸塩濃度≦18 mEq/L)を来した状態であり、緊急の対応が強く推奨される(推奨度1)
  1. DKAの治療の基本は脱水の補正とナトリウムの補充であり、生理食塩水を中心とした十分な輸液とインスリンの持続点滴を行うことが推奨される(推奨度1)
  1. DKAの初期治療としてインスリンの静脈投与(ボーラス投与)をインスリンの持続点滴と併用することは推奨されない(推奨度3)
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  1. 高血糖(≧600 mg/dL)、高浸透圧血症(≧320 mOsm/L)をもたらすがアシドーシスは認めない(pH>7.30、HCO3>18~20 mEq/L)状態は、高浸透圧高血糖状態(HHS)と呼ばれ、緊急の対応が推奨される(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. インスリンの極端な欠乏とインスリン拮抗ホルモン(グルカゴン、コルチゾール、アドレナリンなど)の増加により、高血糖、高ケトン血症、アシドーシスを来した状態が糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)である。
  1. 肝臓におけるグルコースとケトンの過剰産生と、筋肉や中枢神経系でのグルコースやケトンの処理能の低下が認められる。
  1. インスリンの欠乏とインスリン拮抗ホルモンの増加は脂肪組織におけるホルモン感受性リパーゼの活性を亢進し、脂肪分解(lipolysis)を促進して大量の遊離脂肪酸(long-chain non-esterified fatty acids:NEFA)を供給する。遊離脂肪酸は肝臓でcoenzyme A(CoA)の作用を受け、CPT(carnitine palmitoyltransferase)-Ⅰ、CPT-Ⅱにより能動的にミトコンドリア内に取り込まれ、ケトン体の産生に結び付く。
問診・診察のポイント  
  1. インスリン治療中の1型糖尿病患者が感染性胃腸炎などを引き起こし、嘔気・嘔吐などの消化器症状のため十分な摂食ができず、インスリンを減らしたり中止したりしたときに発症することが多い。劇症1型糖尿病の初発症状としても注目されている。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
吉岡成人 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:野田光彦 : 特に申告事項無し[2024年]

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