今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 栗本康夫 神戸市立神戸アイセンター病院

監修: 沖波聡 倉敷中央病院眼科

著者校正/監修レビュー済:2022/08/03
参考ガイドライン:
  1. 日本眼科学会:緑内障診療ガイドライン(第5版)
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 日本緑内障学会緑内障診療ガイドラインの第5版への改訂を受けて、急性原発閉塞隅角症の予防的治療の適応や第一選択治療について加筆した。

概要・推奨   

  1. 閉塞隅角緑内障は早期に診断して適切に治療すれば治癒し得る緑内障病型であるが、適切な診療を怠れば視機能の予後は悪く失明リスクが高いことをしっかりと踏まえて本疾患の診療にあたらねばならない(推奨度1 S)
  1. 急性閉塞隅角症治療の初期目標は眼圧の下降と閉塞した隅角の開放である。
 

病態・疫学・診察 

疾患情報  
  1. 急性原発閉塞隅角緑内障(APACG:acute primary angle closure glaucoma)は、緑内障性視神経症を来している場合にのみ「緑内障」という用語を用い、視神経症を来していない場合、あるいは未判定の場合を含めて急性原発閉塞隅角症(APAC:acute primary angle closure)という用語が用いられる。
  1. 急性原発閉塞隅角症の一般的な診断基準は以下の1)と2)を満たすものとされている[1]
1)眼痛、吐気もしくは嘔吐、光輪視を伴う霧視の前駆症状のうち2つ以上を有する。
2)眼圧上昇(>21mmHg)と、結膜充血、角膜浮腫、中等度散瞳および対光反応消失、浅前房のうち3つ以上の所見を認める。
  1. 本症では、瞳孔ブロックにより虹彩が前方に膨隆し、虹彩周辺部が線維柱帯に押しつけられて房水の流出路である前房隅角が閉塞する。
  1. わが国の緑内障全体(40歳以上で5.0%)のなかで本病型が占める割合は高くない。原発閉塞隅角緑内障の頻度は40歳以上で0.6%、緑内障性視神経症を来していない原発閉塞隅角症を含めれば1.3%[2]。このうち、急性発作である急性原発閉塞隅角症、もしくは同緑内障を起こすものはごく一部である。リスクファクターとして浅い前房、高齢者、女性、モンゴロイドなどが挙げられる[3]
  1. 閉塞隅角緑内障そのものは失明リスクの高い緑内障病型ではあるが、急性原発閉塞隅角症は発症後早期に適切に治療されれば、多くの場合、視機能の予後は良好である。
問診・診察のポイント  
  1. 自覚症状として、眼痛、霧視、虹視、頭痛、悪心、嘔吐の有無を問診する。頻度は少ないが、両眼同時発症もあり得る。脳神経系の救急疾患を疑われて受診する場合も多いので注意が必要。

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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
栗本康夫 : 未申告[2024年]
監修:沖波聡 : 特に申告事項無し[2024年]

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急性閉塞隅角緑内障

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