今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 山縣邦弘 筑波大学 医学医療系 腎臓内科学

監修: 岡田浩一 埼玉医科大学 腎臓内科

著者校正/監修レビュー済:2024/07/10
参考ガイドライン:
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2023』を中心に、「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation(2020年9月29日版)」、「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」に基づきレビューし、以下を行った。
  1. 新たな治療薬についての解説
  1. SGLT2阻害薬は、糖尿病合併・非合併にかかわらず、アルブミン尿(蛋白尿)を伴うCKD患者への効果は確立しており、アルブミン尿(蛋白尿)を伴わないCKD患者にも腎保護効果を示す可能性がある。
  1. エビデンスの追加
  1. わが国ではESAの投与による、PREDICT研究(Terumasa Hayashi, et al. Clin J Am Soc Nephrol. 2020 May 7;15(5):608-615)として、目標Hb 11-13 g/dLと9-11 g/dLの2群に割り付けた前向き介入研究とRADIANCE-CKD研究(Kazuhiko Tsuruya, et al. Clin Exp Nephrol. 2021 May;25(5):456-466)として、Hb 11 g/dL以上を目指す群とエントリー時のHbを維持する前向き介入研究の結果が報告され、いずれも高いHb群での腎予後、心臓血管イベントに差がなかった。
  1. CKD G3期以降では、⽔分負荷が⽣命予後、腎予後に有益性が認められないことから、通常よりも意図的に飲⽔量を増やすことは⾏うべきではない(William F Clark, et al. JAMA. 2018 May 8;319(18):1870-1879)。
  1. ⾼齢CKD患者ではCKDに関する健康教育単独に比べ、⾝体活動を増やす指導を追加することにより、シスタチンCによって算出されたeGFRの低下スピードを有意に抑制するなどのエビデンスがある(Michael G Shlipak, et al. JAMA Intern Med. 2022 Jun 1;182(6):650-659)。
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概要・推奨   

  1. 慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は慢性的に腎臓の異常のある疾患のすべてを包含する疾患概念である。
  1. CKDの重症化により末期慢性腎不全への進行とともに、心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)発症のリスクも上昇する。
  1. CKDには腎に異常を来す一次性あるいは二次性の原腎疾患があり、診療においては原腎疾患の管理が優先される。
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  1. CKDの定義に従い、腎障害の指標(蛋白尿(0.15 g/24時間以上;0.15 g/gCr以上)アルブミン尿(30 mg/24時間以上;30 mg/gCr以上)、尿沈渣の異常、尿細管障害による電解質異常やその他の異常、病理組織検査による異常、画像検査による異常、腎移植の既往)、腎機能の低下(GFR 60 mL/分/1.73 m2未満)のいずれかが3カ月を越えて持続する場合CKDと診断する。
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  1. 以下のような場合、腎生検の施行を考慮する必要がある(推奨度2、フローチャート1)[1]
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山縣邦弘 : 講演料(協和キリン(株),田辺三菱製薬(株),アストラゼネカ(株)),研究費・助成金など(協和キリン(株),田辺三菱製薬(株))[2024年]
監修:岡田浩一 : 講演料(アステラス製薬(株),アストラゼネカ(株),小野薬品工業(株),田辺三菱製薬(株),日本ベーリンガーインゲルハイム(株),協和キリン(株)),研究費・助成金など(中外製薬(株),協和キリン(株))[2024年]

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