今日の臨床サポート

精巣/陰嚢の異常(急性陰嚢痛、左右差、萎縮など)

著者: 村雲雅志 市立釧路総合病院 泌尿器科

監修: 菊地栄次 聖マリアンナ医科大学 腎泌尿器外科学

著者校正/監修レビュー済:2021/03/03
参考ガイドライン:
  1. 日本泌尿器科学会:急性陰嚢症診療ガイドライン 第1版(2014)

概要・推奨   

  1. 急性の疼痛を主症状とする陰嚢内疾患を総称して急性陰嚢症acute scrotumと呼ぶ。特に緊急対応が必要となる精巣捻転を鑑別することが重要であり、診断には臨床所見の評価(推奨度1)のうえ、可能であれば超音波検査(カラードプラー血流検査)を行う(推奨度2判断に迷うときはすぐ専門医に相談すべきである(推奨度2
  1. 無痛性の陰嚢腫脹をみたときには、腫瘍か非腫瘍病変かの鑑別が重要である。超音波検査所見が有用である(推奨度2
  1. 小児陰嚢内容が欠如している場合、診断・治療方針決定のためにも、なるべく早期に専門医に相談する(推奨度1
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
村雲雅志 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:菊地栄次 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、画像・記載を整理した。
  1. 2013年に提唱され、日本でも評価が進んでいる精巣捻転の臨床症状スコア(TWISTスコア)を記載した。

まとめ

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 陰嚢・陰嚢内容の異常を来す疾患は多種多様であるが、詳細な病歴聴取と身体的所見から、かなりの程度まで鑑別診断が可能である。その際、超音波検査、特にカラードプラー血流検査はきわめて有用である。
  1. 急性の疼痛を主症状とする陰嚢内疾患を総称して急性陰嚢症(acute scrotum)という。
  1. 急性陰嚢症では、腹膜刺激症状や内腹斜筋領域の痛みを主訴とすることもあるので、腹痛症の患者をみたときには陰嚢内疾患の可能性も考えるべきである。
  1. 陰嚢への関連痛を示すものとして、尿管結石症・虫垂炎・腹部大動脈瘤・腰仙部神経障害などが報告されている。
  1. 急性陰嚢症のなかでは、精巣捻転と、類似の症状を示す精巣付属器捻転・精巣上体炎とを迅速に鑑別することが重要である。特に精巣捻転症では適切な治療を受けないと精巣を喪失することになりかねず、患者の精神的・肉体的影響が大きいため、迅速かつ適切な診断が必須である。判断に迷うときはすぐ専門医に相談する。
  1. 陰嚢の腫脹を来す場合、最も重要なのは精巣腫瘍と非腫瘍病変の鑑別である。肝硬変や進行癌によるリンパ浮腫など、全身性疾患が原因のこともある。
  1. 特に緊急性があるものとして、陰嚢部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)がある。糖尿病患者に多い。きわめて短時間で劇症化し生命に関わる。ただちに集中治療のできる施設へ搬送する。
  1. 小児で陰嚢内容が欠如している場合、ほとんどが停留精巣である。早期に治療方針を決定する必要があるため、専門医の判断を仰ぐ。
  1. 成人の両側性の精巣萎縮をみた場合、内分泌的な異常がないかという視点で鑑別を進める。
 
急性陰嚢痛を起こす主な原因疾患―

年齢ごとに頻度の高いとされるものを列記する。レファレンスをもとに筆者作成。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
急性陰嚢症の鑑別ポイント

重要な疾患と所見のまとめ。

問診・診察のポイント  
  1. 発症の状況・症状~発症が急激か/緩徐か、日中か/夜間か、痛みが激痛か/鈍痛か、持続性か/間欠的か、などの情報は重要である。しかし乳幼児では訴えること自体が困難であり、また年長児・成人であってもすべてを正直に話しているとは限らない。面接技術を駆使して情報を得る必要がある。

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文献 

著者: João A Barbosa, Bruno Camargo Tiseo, Ghassan A Barayan, Brian M Rosman, Fábio César Miranda Torricelli, Carlo C Passerotti, Miguel Srougi, Alan B Retik, Hiep T Nguyen
雑誌名: J Urol. 2013 May;189(5):1859-64. doi: 10.1016/j.juro.2012.10.056. Epub 2012 Oct 24.
Abstract/Text PURPOSE: Testicular torsion is a surgical emergency requiring prompt intervention. Although clinical diagnosis is recommended, scrotal ultrasound is frequently ordered, delaying treatment. We created a scoring system to diagnose testicular torsion, decreasing the indication for ultrasound.
MATERIALS AND METHODS: We prospectively evaluated 338 patients with acute scrotum, of whom 51 had testicular torsion. Physical examination was performed by a urologist, and all patients underwent scrotal ultrasound. Univariate analysis and logistic regression were performed, and a scoring system for risk stratification of torsion was created. Retrospective validation was performed with 2 independent data sets.
RESULTS: The scoring system consisted of testicular swelling (2 points), hard testicle (2), absent cremasteric reflex (1), nausea/vomiting (1) and high riding testis (1). Cutoffs for low and high risk were 2 and 5 points, respectively. Ultrasound would be indicated only for the intermediate risk group. In the prospective data set 69% of patients had low, 19% intermediate and 11.5% high risk. Negative and positive predictive values were 100% for cutoffs of 2 and 5, respectively (specificity 81%, sensitivity 76%). Retrospective validation in 1 data set showed 66% of patients at low, 16% intermediate and 17% high risk. Negative and positive predictive values for cutoffs of 2 and 5 were 100% (specificity 97%, sensitivity 54%). The second retrospective data set included only torsion cases, none of which was misdiagnosed by the scoring system.
CONCLUSIONS: This scoring system can potentially diagnose or rule out testicular torsion in 80% of cases, with high positive and negative predictive values for selected cutoffs. Ultrasound orders would be decreased to 20% of acute scrotum cases. Prospective validation of this scoring system is necessary.

Copyright © 2013 American Urological Association Education and Research, Inc. Published by Elsevier Inc. All rights reserved.
PMID 23103800  J Urol. 2013 May;189(5):1859-64. doi: 10.1016/j.juro.20・・・

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