低ナトリウム血症 :トップ    
監修: 花房規男 東京女子医科大学 血液浄化療法科
石川三衛 国際医療福祉大学病院 糖尿病内分泌代謝科

概要

所見のポイント:
  1. 低Na血症にみられる臨床徴候は、低Na血症の程度とその進行速度に依存する。血清Na値が120mmol/l以上であれば、悪心、食欲低下などの症状をみるのみであるが、血清Na値がさらに低下すると傾眠、無欲状などの軽い意識障害を認めるようになる。110mmol/lを下回ると、精神不穏やけいれんなど重篤な症状を引き起こし、不可逆的な変化に陥る危険がある。
  1. 所見では、腹部違和感、深部腱反射の減弱や病的反射の出現などを認める。さらに低Na血症が進展すると、低体温やけいれん発作などをみることがある。しかし、低Na血症が急激に進行する例では、血清Na値が120mmol/l程度でも意識障害やけいれんなどの重篤な症状を招くことがあるので留意する。
  1. 電解質測定はルーチン検査の範疇である、日常診療における低Na血症の発見はルーチン検査から見出されることが大部分で、低Na血症の臨床徴候から示唆される症例は少ないのが実情である。
 
パニック値・緊急対応:  >詳細情報 
  1. パニック値:
  1. 110mmol/lを下回ると、低体温、精神不穏やけいれんなど重篤な症状を引き起こし、不可逆的な変化に陥る危険があるため注意が必要である。しかし、通常は慢性の経過であるか急性の経過であるかにより症状の発現は異なるため、検査値よりは症状を基に対応を考慮する必要がある。
  1. 症状を認める著しい低Na血症の緊急対応:
  1. 血清Na値が120mmol/l以下の著しい低Na血症では水中毒の危険があり、速やかな補正が必要である。Na欠乏量を評価し高張食塩水の輸液による補正とフロセミドの投与が行われる。
  1. 高張食塩水は2.5~3.0%のNaClを1.5~3.0ml/kg/時の速度で静脈内にゆっくり点滴する。血清Na値の補正速度は時間当たり0.5mmol/l、24時間で10~15mmol/lくらいの増加とする。24時間で血清Na値が20mmol/l以上に及ぶような急激な血清Na値の増加は浸透圧性脱髄症候群(osmotic demyelination syndrome)…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

鑑別の評価のための評価例
  1. 血清Na値と関連して、血漿浸透圧、血清K、Cl値、尿浸透圧、尿Na、K、Cl、クレアチニン、尿酸排泄量を測定する。
  1. 体液量の増減に関連して、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血清総蛋白を、また腎機能の尿素窒素、クレアチニン、尿酸、eGFRを、ホルモンでは血漿アルギニンバソプレシン(AVP)、血漿レニン活性、血漿アルドステロン値、血漿ANP、BNP値をそれぞれ測定する。
  1. 血清Na値と強い連関のみられる下垂体副腎系(血清コルチゾール、血漿ACTH値)および甲状腺機能(TSH、free T4、free T3)を評価する。
  1. 浮腫性疾患との鑑別を要する場合、胸部X線、心超音波検査、下大静脈径の測定、腹部CT、腹部超音波検査、尿蛋白排泄量などの検査も行う必要がある。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)

低Na血症の分類
細胞外液量減少における各身体指標の感度、特異度および尤度(LR*)
著者校正済:2018/07/23
現在監修レビュー中

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、修正を行った。