原発性線毛機能不全症候群(Kartagener症候群) :トップ    
監修: 長瀬隆英 東京大学 内科学専攻器官病態内科学講座
杉山幸比古 練馬光が丘病院 呼吸器内科

概要

疾患のポイント:
  1. 原発性線毛機能不全症候群(primary ciliary dyskinesia、PCD)は、常染色体劣性遺伝と考えられる先天性の線毛器官の構造異常とそれによる機能不全を病態とする。
  1. 線毛の機能不全により、幼小児期からの慢性上下気道感染症や男性不妊症、女性不妊症、角膜異常、網膜色素変性症などを生じる。
  1. 本症の約50%で内臓逆位がみられ、慢性副鼻腔炎、気管支拡張症、内臓逆位の3徴を示す例がKartagener症候群と呼ばれている。
  1. PCDの白人での有症率は12,500~40,000人に1人とされているが、日本人ではやや多いとされている。
 
診断: >詳細情報 
  1. 頭部副鼻腔X線像や頭部CT像により、慢性副鼻腔炎の診断を、胸部X線写真、胸部HRCTにて気管支拡張症の診断を行う。
  1. サッカリン・テスト等により粘液線毛輸送系のチェックを行い、遅延がみられるか診断する。
  1. 鼻腔または気管支粘膜から線毛組織を採取し、線毛の超微形態像を電子顕微鏡によって確認する。
 
重症度・予後評価: >詳細情報 
  1. 予後は比較的良好であるが、まれに呼吸不全状態の強い例、拡張気管支からの大量喀血を来す例があり注意を要する。
  1. 呼吸器系の病像が重症度・予後を規定する。
 
治療: >詳細情報 
  1. 治療のターゲットとして最も重要になるのは慢性下気道感染症の治療である。マクロライド療法があるが、効果が低いとする報告もある。慢性下気道感染症の急性増悪に対しては、殺菌性抗菌薬の短期間投与で対応する。

専門医相談のタイミング: >詳細情報 
問診から本症が疑われた場合、確定診断については専門的な対応が必要となる。したがって、専門医への速やかな紹介が重要である。
 
臨床のポイント:
  1. 慢性副鼻腔炎、気管支拡張症、内臓逆位の3徴を示す症例をKartagener症候群と呼ぶ。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

治療例
  1. 治療のターゲットとして最も重要になるのは慢性下気道感染症の治療である。マクロライド療法があるが、効果が低いとする報告もある。慢性下気道感染症の急性増悪に対しては、殺菌性抗菌薬の短期間投与で対応する。
○ 安定している症例の場合、1) 2)のいずれか1つを用いる。

追加情報ページへのリンク

  • 原発性線毛機能不全症候群(Kartagener症候群)に関する詳細情報
  • 原発性線毛機能不全症候群(Kartagener症候群)に関する評価・治療例(詳細) (1件)
  • 原発性線毛機能不全症候群(Kartagener症候群)に関するエビデンス・解説 (2件)
  • 原発性線毛機能不全症候群(Kartagener症候群)に関する画像 (5件)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

原発性線毛機能不全症候群の診断の流れ
Kartagener症候群の胸部X線像
Kartagener症候群のCT像
著者校正/監修レビュー済
2016/04/01