胎児機能不全 :トップ    
監修: 金山尚裕 浜松医科大学 産婦人科
大口昭英 自治医科大学附属病院総合周産期母子医療センター

概要

ポイント:
  1. 胎児心拍数基線(FHR baseline)と基線細変動(baseline variability)が正常であり、一過性頻脈があり、かつ一過性徐脈がないとき、胎児は健康であると判断する。
  1. 分娩第1期には分娩監視装置を一定時間(20分以上)使用し、正常胎児心拍数パターンであることを確認する。
  1. 以下の場合は、連続的モニタリングを行う:
  1. ①子宮収縮薬使用中
  1. ②分娩第2期、母体発熱中、用量41mL以上のメトロイリンテル挿入中、無痛分娩中
  1. ③胎児機能不全と診断した場合、レベル2で、監視の強化、保存的処置の施行および原因検索の場合
  1. ④ハイリスク妊娠:(母体側要因)糖尿病、妊娠高血圧症候群、妊娠・分娩中の低酸素状態が原因と考えられる脳性麻痺児・子宮内胎児死亡児出産(概ね≧30週)既往、子癇既往、子宮体部への手術歴、(胎児側要因)胎位異常、推定児体重<2,000g、胎児発育不全、多胎妊娠、(胎盤や羊水の異常)低置胎盤
  1. ⑤その他、ハイリスクと考えられる症例。
 
診断: >詳細情報 
  1. 診断は、①心拍数基線、②基線細変動、③一過性徐脈――の組み合わせで行う。
  1. 心拍数基線より、正常脈(110~160bpm)、頻脈(160bpmを超える)、徐脈(110bpm未満)、高度徐脈(80bpm未満)に分類する。
  1. 基線細変動より、細変動消失(肉眼的に認められない)、細変動減少(5bpm以下)、細変動中等度(6~25bpm)、細変動増加(26bpm以上)に分類する。
  1. 胎児心拍数一過性変動は、一過性頻脈と一過性徐脈がある。一過性徐脈は、①早発一過性徐脈、②遅発一過性徐脈、③変動一過性徐脈、④遷延一過性徐脈――に区分する。ただし、子宮収縮が不明の場合は、早発一過性徐脈、遅発一過性徐脈、変動一過性徐脈の区別はつけない。
  1. 基線細変動、心拍数基線、一過性徐脈の組み合わせに基づいた胎児心拍数波形のレベル分類の3~5(異常波形軽度、中等度、高度)の場合、「胎児機能不全」と診断する。
  1. 胎児心拍数波形のレベル分類:<図表>
  1. 胎児心拍数波形分類に基づく対応と処置(主に32週以降症例に関して):

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

急速遂娩前の緊急評価例
  1. レベル4または5の胎児機能不全と診断した場合、速やかに児の娩出を図る。
  1. 手術スタッフの確保、手術室の稼働状況の確認、(麻酔科医師の確保)、術前検査一式を評価する。
○ 急速遂娩前の評価として1)~7)を行う。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

胎児心拍数陣痛図分類に基づく助産師の対応と処置
早発一過性徐脈
遅発一過性徐脈
変動一過性徐脈
遷延一過性徐脈
著者校正/監修レビュー済
2018/05/23