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羊水塞栓症

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産婦人科産科：後半期

著者: 金山尚裕静岡医療科学専門大学校

監修: 金山尚裕静岡医療科学専門大学校

著者校正/監修レビュー済：2024/03/21

参考ガイドライン：

日本産科婦人科学会／日本産婦人科医会：産婦人科診療ガイドライン産科編2023

日本産婦人科医会：母体安全への提言2020

患者向け説明資料

改訂のポイント：

『産婦人科診療ガイドライン産科編2023』の発行に伴いレビューを行った（同ガイドラインに基づく変更はなし）。

その他、軽微な変更、追記を行った。

概要・推奨

心肺虚脱型羊水塞栓症の患者にはショックの初期対応、集学的管理、DIC出血に対する管理が重要である。

羊水塞栓症では早期のDIC診断、DICが重要である。

病態・疫学・診察

疾患情報（疫学・病態）

羊水塞栓症とは、羊水が母体血中へ流入することにより生じる病態で、流入した羊水によりアナフィラクトイド反応が発生し補体、凝固、線溶系、キニン系が活性化し播種性血管内凝固症候群（DIC）、子宮弛緩症となる状態である。また、羊水が母体血中に流入すると子宮・血管の平滑筋攣縮により子宮胎盤循環不全が発生し急激な胎児機能不全となる。

症状は、分娩周辺期の特に破水後の呼吸困難、胸痛、意識消失、ショック症状などの心肺虚脱、分娩後のサラサラした出血および弛緩出血、原因不明の胎児機能不全、原因不明の強度の下腹痛などがある。

羊水塞栓症の発症頻度は以前、約2万から8万分娩に対し1例程度と考えられていが、播種性血管内凝固症候群（DIC）・弛緩出血を主体とする疾患に羊水塞栓症が含まれる例があることより、実際の頻度はもっと高いと考えられている。

羊水塞栓症に合併しやすい病態

DICと弛緩出血が7割程度の羊水塞栓症に合併する。

出典

W M Gilbert, B Danielsen
Amniotic fluid embolism: decreased mortality in a population-based study.
Obstet Gynecol. 1999 Jun;93(6):973-7.

Abstract/Text OBJECTIVE: To examine the risk factors and pregnancy outcomes associated with 53 cases of amniotic fluid embolism that occurred in California during the 2-year period January 1, 1994 to December 31, 1995.
METHODS: Data were obtained from a computerized database that contains linked records from the vital statistics birth certificate and hospital discharge summaries of both mother and newborn. This database covered all singleton deliveries that occurred in 328 civilian acute-care hospitals in California, which represented 98% of all deliveries in California. All cases of amniotic fluid embolism were examined for other pregnancy complications.
RESULTS: There were 1,094,248 deliveries during that 2-year period. Fifty-three singleton gestations had the diagnosis of amniotic fluid embolism, for a population frequency of one per 20,646 deliveries. Fourteen women with amniotic fluid embolism died, for a maternal mortality rate of 26.4%. There were 35 (66%) diagnoses of disseminated intravascular coagulation (DIC), 38 (72%) diagnoses of hemorrhage, and 25 (47%) diagnoses of obstetric shock. Among the 14 women who died, the frequency of DIC (79%) and hemorrhage (71%) was not different compared with that of the survivors (62% and 72%, respectively), but obstetric shock was higher (86%, P = .02) than in survivors (33%). The average maternal length of stay for survivors was 6.5 days (range 3-27 days, median 5 days). The cesarean rate was 60% and the frequency of fetal distress was 49%.
CONCLUSION: In this population-based study of reported cases of amniotic fluid embolism, the maternal mortality rate (26.4%) was significantly less than previously reported and might reflect a more accurate population frequency. In addition, patients who survived and patients who died had similar pregnancy complications, suggesting that amniotic fluid embolism was present in all cases and not limited to those who died.

PMID 10362165

わが国で平成元年から16年までの間に193例が妊産婦死亡で剖検されたが、その中で羊水塞栓症が24.3％と第1位であった^[1]。

最新の英国の報告では10万分娩中2例とされている。死亡率は以前60～80％と非常に高率であったが、最近の報告では20～40％との報告がある^[2]。

帝王切開や吸引・鉗子分娩は羊水塞栓症のリスクが高い^[3]。

羊水塞栓症によるNRFS発生機序

羊水が母体血中に流入すると子宮・血管の平滑筋攣縮により子宮胎盤循環不全が発生し急激な胎児機能不全となる。一方流入した羊水によりアナフィラクトイド反応が発生し補体、凝固、線溶系、キニン系が活性化しDIC、子宮弛緩症となる。

羊水が母体血中に流入し、子宮血管および子宮平滑筋の過剰な収縮により子宮胎盤循環が阻害され、NRFSとなる。

出典

著者提供

問診・診察のポイント

分娩周辺期：特に破水後の呼吸困難、胸痛、意識消失、ショック症状などの心肺虚脱

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著者のCOI（Conflicts of Interest）開示:
金山尚裕 : 特に申告事項無し[2024年]
監修：金山尚裕 : 特に申告事項無し[2024年]

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