癌性腹膜炎 :トップ    
監修: 田村研治 国立がん研究センター中央病院
中島貴子 聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座

概要

疾患のポイント:
  1. 癌性腹膜炎とは、腹膜に癌が転移した病態である。すべての癌種で合併する可能性があるが、卵巣がん、胃癌で合併率が高い。
 
診断: >詳細情報 
  1. 腹水穿刺ができる場合は施行し、細胞診で悪性所見が得られた場合、また、手術時の肉眼所見にて腹膜結節を確認し、病理学的に癌を確認できた場合には確定診断となる。
  1. ただし、CTや超音波検査による水腎症、腹膜結節、腸間膜肥厚、腹水、消化管造影検査による腸管狭窄などの臨床所見のみで診断する場合も多い。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 原疾患の病期を決定する。癌腫、病期により予後は異なる。
 
治療: >詳細情報 
  1. ポイント:
  1. 治療の基本は、原疾患に対する標準治療である。ただし、癌性腹膜炎はさまざまな病態を引き起こすため、抗癌薬の選択には注意を要する。また、緩和治療も併行して行う。
  1. 原疾患の治療の注意点:
  1. 排便、排ガスが十分でない場合、大量の腹水を有する場合はイリノテカンの使用は禁忌である。
  1. 大量の腹水を有する場合、水腎症を合併している場合は、シスプラチンの使用は避けることが多い
  1. 腸閉塞を合併して嘔吐が頻回の場合は、経口抗癌薬の使用は避けることが多い。
  1. 緩和治療の注意点:
  1. 水腎症による腎機能障害が認められる場合は、尿管狭窄に対してダブルジェイカテーテルやステントを挿入したり、内外瘻チューブを留置する場合もある。
  1. 腹水に対して、利尿薬、オピオイド(フェンタニル推奨)、ドレナージ目的の腹水穿刺、改良型腹水濾過濃縮再静注法、腹腔―静脈シャントによる症状緩和のための治療を行うこともある。
  1. 腸閉塞による症状が強い場合は、オクトレオチド(サンドスタチン)の皮下投与や、排液目的のイレウス管や胃管を挿入することもある。
 
専門医相談のタイミング: >詳細情報 
  1. 通常、専門医の基で治療を受けることが望ましい。症状が強い、もしくは合併症を認め、標準的化学療法が行えない場合は特に専門家に紹介するべきである。
 
臨床のポイント:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

癌性腹膜炎の確定診断のための評価例
  1. 腹水穿刺が可能な患者において行うが、細胞診が陰性であっても腹水中のLDHやCEA、その他の画像所見を併せて総合的に診断する。
○ 腹水細胞診を行うと同時に、LDH、CEAなども測定する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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(詳細はこちらを参照)

癌性腹膜炎の治療アルゴリズム
UICC TNM分類 卵巣がん
UICC TNM分類 胃癌
卵巣がん治療フローチャート
胃癌治療フローチャート:日常診療で推奨される進行度別治療法の適応
癌性腹膜炎
著者校正/監修レビュー済
2016/11/30