今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 伊澤直樹 聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学

監修: 高野利実 がん研有明病院 乳腺内科

著者校正/監修レビュー済:2022/02/16
参考ガイドライン:
  1. 日本腹膜播種研究会:腹膜播種診療ガイドライン2021年版 
  1. 公益社団法人 日本産科婦人科学会:卵巣がん・胆管癌・腹膜癌治療ガイドライン2020年版
  1. 日本胃癌学会:胃癌治療ガイドライン 医師用第6版
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、最新のエビデンスに基づいて症状・症候治療について加筆修正を行った。
  1. 腹膜播種診療ガイドライン 、卵巣がん・胆管癌・腹膜癌治療ガイドライン、胃癌治療ガイドラインに基づき、卵巣癌による癌性腹膜炎、胃癌による癌性腹水の治療について改訂を行った。

概要・推奨   

  1. 癌性腹膜炎は消化管癌(特に胃癌)や卵巣癌など原疾患を有する場合が多く、全身の画像検査を実施する。癌性腹膜炎は組織学的な検査によって確定診断されることが好ましいが、画像検査での診断のみとなることもある。治療は化学療法や緩和的な治療が主である。
  1. 化学療法治療は原疾患に沿って選択される。緩和的な治療方法として、腹腔-静脈シャント(デンバーシャント)や改良型腹水濾過濃縮再静注法(KM-CART)、利尿剤・麻薬など薬物療法が行われる。デンバーシャントを検討した観察研究では82.7%の症例で症状の改善を認めている(推奨度3)。ただし、合併症も多いため、適応患者を限定する必要がある。
  1. KM-CARTは、肝硬変による腹水と異なり、多数の播種を有する胃癌では腹水穿刺が不要な状態を維持できることは少ないため、KM-CARTを実施している施設は少ない(推奨度3)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 手術時の肉眼所見にて腹膜結節を確認するか、腹⽔の病理学的検査で癌を確認できれば確定診断となる。
  1. ただし、CT検査や超音波検査において水腎症や腹膜結節、腸間膜肥厚、腹水、消化管造影検査による腸管狭窄などの臨床所見のみで診断する場合も多い。
  1. すべての癌種で合併する可能性があるが、卵巣癌、胃癌で合併率が高い。
  1. 癌性腹膜炎は尿管閉塞による腎機能障害や腸閉塞による経口摂取困難など、さまざまな病態を引き起こすため、抗癌薬の選択には注意を要する。
  1. 原疾患に対する化学療法が治療の中心となるため、予後は原疾患により異なる。一般的に腹膜播種を有する場合は予後不良である。
問診・診察のポイント  
  1. 腹水を認める患者では、良性腹水を起こし得る疾患の既往歴を聴取し、腹囲を測定する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
伊澤直樹 : 研究費・助成金など(大鵬薬品工業(株))[2024年]
監修:高野利実 : 講演料(第一三共(株),イーライリリー)[2024年]

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