頚肩腕症候群 :トップ    
監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター
遠藤健司 東京医科大学 整形外科分野

概要

疾患のポイント:
  1. 頚肩腕症候群とは、上肢の長時間にわたる同一肢位の継続、反復によって、神経、筋の疲労を背景として発症し、頚椎から肩甲帯に及ぶ筋肉(僧帽筋、胸鎖乳突筋)の疼痛、肩、肩甲骨周囲、腕にかけての痛みやしびれなどを来す疾患である。
  1. 現在では、パソコン操作で発症することが多く、若年層から発症し男性より女性に多く発症する。
 
診断: >詳細情報 
  1. 疼痛、しびれなど自覚症状が中心なので、特徴的な検査結果は存在しない。
  1. 痛みやこり感は常在性で(<図表>)、長期間の病期を経過した後に、腕のしびれ、後頭部痛や自律神経症状などが発生し症状は自覚症状が中心で、神経学的異常所見に乏しい場合に頚肩腕症候群を疑う。
  1. MRIやレントゲン検査では発見出来ず、検査所見が少なく診断や立証の困難さが存在する。
  1. 近似疾患の慢性疲労症候群や線維筋痛症、膠原病を疑い検査を行った過程で頚肩腕症候群であることが判明することもある。
  1. 頚椎椎間板ヘルニアとの鑑別で、Jackson test(<図表>)、 Spurling test(<図表>)を、胸郭出口症候群との鑑別でRoos test <図表>、Wright test、 Eden test※などを行い、それらの所見が陰性であることを確認する。
  1. ※Wright test: 肘関節を90°曲げて保持する姿勢をする。患側の橈骨動脈が触れなくなると陽性である。感度は高いが特異度は低い。
  1. ※Eden test: 患側腕を後下方向に牽引する。橈骨動脈を触知できなくなると陽性である。
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. 軽症例では、日常生活指導、運動指導、理学療法の併用で寛解することが多い<図表>
 

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査例、保存療法例
  1. ほとんどすべての患者で、単純X線(頚椎)を行う。
  1. 保存療法継続期間に関するエビデンスはないが、生活指導(運動療法)、頚椎カラー装着、内服(NSAIDs、ビタミンB12)などを試みる。
  1. なお、メチコバールやリリカは厳密には頸肩腕症候群の適用外ではあるが合併する末梢神経障害や神経障害性疼痛に対して保険適用内で治療できる。
○ 基質的疾患を鑑別後、生活指導、運動療法を主体とした治療を行うが、要すれば2)、3)、4)など薬物療法を併用する

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
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尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

頚肩腕症候群の治療の流れ
Jackson test
Spurling test
Roos test
僧帽筋など図示の筋群
運動療法
胸郭出口症候群
著者校正/監修レビュー済
2016/07/21