今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 壁谷悠介 そうわクリニック

監修: 野田光彦 国際医療福祉大学市川病院 糖尿病・代謝・内分泌内科

著者校正/監修レビュー済:2021/09/08
参考ガイドライン:
  1. 日本糖尿病学会:糖尿病診療ガイドライン2019
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 糖尿病診療ガイドライン2019に基づき、主に有痛性神経障害の治療について改訂を行った。
  1. 米国糖尿病学会のポジションステートメントに基づき確認を行った。

概要・推奨   

  1. 糖尿病性神経障害の発症・進展には血糖コントロールの状態が関与するため、できる限り厳格な血糖コントロールを行うことが推奨される(推奨度1)
  1. 糖尿病性神経障害の予防のためには、血糖値のコントロールのみならず、高血圧、脂質異常症の是正、禁煙、節酒などの生活習慣の改善が推奨される(推奨度1)
  1. 足の診察・フットケアは糖尿病患者に定期的に行うべきである(推奨度1)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 糖尿病性神経障害とは、糖尿病によって誘発される神経障害のことである。多発神経障害(広汎性左右対称性神経障害)と単神経障害がある。日常臨床では多発神経障害に遭遇する頻度のほうが高い。多発神経障害は、感覚神経障害と自律神経障害を呈する。
  1. 感覚神経障害で多い症状は、下肢を主体とした異常知覚、知覚鈍麻である。自律神経障害の症状は多岐にわたり、日常生活に大きな影響を与えることがある。単神経障害の代表的なものは、急な単一脳神経の麻痺である。頭蓋内病変との鑑別を要する。
  1. 多発神経障害の疾患頻度は、過去の報告の診断基準や対象患者が多様であるため明確に把握されていないが、糖尿病合併症のなかで最も頻度が高いといわれる。一方、単神経障害の頻度は低い。
  1. 糖尿病性神経障害の治療の基本は血糖コントロールであり、良好な血糖コントロールを長期間維持することにより神経障害の発症・進展が抑制されることが明らかにされている[1]
 
糖尿病神経障害の分類一覧とその主な症状:
  1. 広汎性左右対称性神経障害(代謝障害が主な原因と考えられる)
  1. 感覚・運動神経障害:
  1. 頻度が最多である。異常感覚(しびれ感、じんじん感)自発痛、感覚鈍麻、こむら返りなどを認める。特に糖尿病性神経痛。
  1. 自律神経障害:
  1. 発汗の異常、起立性低血圧、胃不全麻痺、便通異常(便秘・下痢)、胆のう無力症、膀胱障害、勃起障害、無自覚低血糖などを認める。
  1. 単神経障害(血管閉塞が主な原因と考えられる)
  1. 脳神経障害:
  1. 外眼筋麻痺(動眼神経麻痺・滑車神経麻痺・外転神経麻痺など)、顔面神経麻痺などを認める。
  1. 単神経障害で、臨床的に多く認めるのは、動眼神経障害である。臨床的には、脳動脈瘤による動眼神経への圧迫、脳梗塞との鑑別が必要になる。通常、散瞳を認めるのが脳動脈瘤の圧迫で、糖尿病性単神経障害では、散瞳を認めない傾向がある。
  1. 体幹・四肢の神経障害:
  1. 尺骨神経麻痺、腓骨神経麻痺、体幹の単神経障害などを認める。
  1. 糖尿病性筋萎縮
問診・診察のポイント  
病歴:
  1. 糖尿病の罹病期間、血糖コントロールの状態を確認する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
壁谷悠介 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:野田光彦 : 特に申告事項無し[2024年]

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糖尿病性神経障害

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