急性呼吸窮迫症候群 :トップ    
監修: 長瀬隆英 東京大学 内科学専攻器官病態内科学講座
福永興壱 慶應義塾大学 呼吸器内科

概要

疾患のポイント:
  1. 急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome、ARDS)とは、重症肺炎や敗血症、誤嚥など先行する基礎疾患を持ち、発症1週間以内にPaO2/ FIO2 < 300 Torrの低酸素血症を認め、胸部X線上では両側性の肺浸潤影を認め、かつ心源性肺水腫を否定できる病態である。
  1. ARDSは基礎疾患発症から48時間以内に出現することが多い。
  1. 肺損傷が起きてから陰影が出現するまで12~24時間の遅れを認めることがあり、胸部X線あるいはCTであってもARDSの滲出早期では検出できないことがある。
 
診断: >詳細情報  (心原性肺水腫と非心原性肺水腫の鑑別:アルゴリズム
  1. 最近のARDSの定義として2012年にベルリン定義が用いられており、①急性発症、②胸部画像上の両側性陰影、③左心不全のみで病態を説明できないこと、④低酸素血症――の4項目で診断される。また陽圧換気下での低酸素血症の程度により軽症、中等症、重症に分類されるが、この重症度と予後との関連について明らかになっていない。ベルリン定義を下記に示す。
  1. ベルリン定義:
  1. 急性発症:明らかな誘因または呼吸器症状の出現もしくは悪化から1週間以内
  1. 胸部画像:両側性陰影(胸水、無気肺、結節のみでは説明できない)(単純X線・CT)
  1. 肺水腫の原因:心不全や輸液過量のみでは説明できない(可能なら心エコーなどの客観的評価が必要)
  1. 酸素化障害:
  1. 軽症 200mmHg2/ FIO2≦300mmHg (PEEP/ CPAP≧5cmH2O)
  1. 中等症100mmHg2/ FIO2≦200mmHg (PEEP≧5cmH2O)
  1. 重症 PaO2/FIO2≦100mmHg (PEEP≧5cmH2O)
 
治療: >詳細情報 
  1. 人工呼吸器による呼吸管理、全身管理(栄養管理、水分管理)を中心に行いながら、先行する基礎疾患を鑑別し、治療をすることが大事である。
  1. 先行する基礎疾患のなかで頻度の高いものは、直接損傷では重症肺炎、胃酸など消化管内容物による誤嚥性肺炎、間接損傷では敗血症がある。
  1. 人工呼吸器の設定:

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

ARDS初診時の検査例
  1. ①急性発症、②胸部画像上の両側性陰影、③左心不全のみで病態を説明できないこと、④低酸素血症――の4項目でARDSと診断される。
  1. 原因疾患発症48時間以内にARDSが出現することが多い。
  1. 診断と同時に除外診断を注意深く行う。
  1. 呼吸管理をはじめとして全身管理を行いながら、原因疾患についての精査・加療をする。

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薬剤監修について:
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(詳細はこちらを参照)

心原性肺水腫と非心原性肺水腫の鑑別
著者校正/監修レビュー済
2018/04/02


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