過敏性腸症候群 :トップ    
監修: 上村直実 国立国際医療研究センター 国府台病院
福土 審 東北大学病院 心療内科

概要

疾患のポイント:
  1. 過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome、IBS)とは、主として大腸の運動、知覚および分泌機能の異常で起こる疾患である。腸管自体に通常の臨床検査にて検出できる器質的疾患によらず、慢性の腹痛と下痢や便秘などの症状が持続する。
  1. 検査を行っても炎症や潰瘍など目に見える異常が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、ガス過多による下腹部の張りなどの症状が起こる。
  1. わが国における過敏性腸症候群(IBS)の有病率は人口の14.2%、1年間の罹患率は1~2%、内科外来患者の31%と高頻度である。ただし、全症例に医学的な治療が必ずしも必要があるわけではない。
 
診断: >詳細情報 
  1. 腹痛、ならびに下痢、便秘の原因となる器質的疾患を、癌と炎症性腸疾患を中心に除外する。
  1. 過敏性腸症候群(IBS)の診断フローチャート:アルゴリズム
  1. 診断については、2016年に公刊されたRome IV基準<図表>が国際的に使用されている。
  1. 以下の診断基準を満たすときIBSを診断する。
  1. 腹痛が、最近3カ月のなかの1週間につき少なくとも1日以上は生じる。
  1. 腹が、①排便に関連する、②排便頻度の変化に関連する、③便形状(外観)の変化に関連する――の3つの便通異常のうち2つ以上の症状を伴う。
  1. 診断のための検査として、便潜血、尿検査、血液生化学検査(HS-CRP、complete blood count [CBC]、hTSHを含む)、腹部単純X線検査を施行する。臨床的必要性に応じて大腸内視鏡検査、大腸X線造影検査、上部消化管内視鏡検査、腹部超音波検査、腹部CT検査を施行する。
 
病型の評価:
  1. Bristol Stool Form Scaleを用いて便秘型、下痢型、混合型、分類不能型を分類する。
  1. Bristol便形状尺度説明図: <図表>
  1. 過敏性腸症候群(IBS)の分類の定義(Rome IV):<図表>
  1. 過敏性腸症候群(IBS)の分…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

初期治療例(第1段階)
  1. 薬物として、消化管運動の調整のために消化管運動調節薬、消化管腔内環境調整のために高分子重合体(コロネル、セレキノンなど)、乳酸菌製剤(ラックビーなど)を用いる。
  1. 病型に応じて、下記の方針を参考に薬剤を選択する
  1. Bristol便形状尺度説明図: <図表>
  1. 過敏性腸症候群(IBS)の分類(Rome IV):<図表><図表>
  1. 下痢型には5-HT3拮抗薬(イリボー)やメペンゾラート(トランコロン)を投与する。
  1. 便秘型に対しては、アントラキノン系下剤(センナなど)以外の下剤であるピコスルファート(ラキソベロン)や酸化マグネシウムなどを処方する。Clチャンネル2賦活薬であるルビプロストン(アミティーザ)も使用可能である。
  1. 腹痛に対しては、抗コリン薬(ブスコパンなど)を頓用で用い、それで不十分であれば、定期処方する。
○ 便通異常の症状(下痢や便秘)に応じて、下記の1)から6)を適宜使用し、症状の推移をみてこれらを組み合わせて使用する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

過敏性腸症候群(IBS)の診断フローチャート
過敏性腸症候群(IBS)の治療:第1段階
過敏性腸症候群(IBS)の治療:第2段階
心身症としての過敏性腸症候群(IBS)の診断基準
過敏性腸症候群(IBS)の治療:第3段階
過敏性腸症候群(IBS)のRome IV診断基準
過敏性腸症候群(IBS)の分類(Rome IV)
Bristol便形状尺度説明図
過敏性腸症候群(IBS)に対する薬物療法
過敏性腸症候群(IBS)の分類(Rome IV)
著者校正/監修レビュー済
2017/06/30