パニック障害 :トップ    
監修: 上島国利 昭和大学
塩入俊樹 岐阜大学大学院医学系研究科神経統御学講座

概要

疾患のポイント:
  1. パニック障害とは、突然生じる動悸や発汗、呼吸困難感などの自律神経症状と強い恐怖感を伴う不安発作(=パニック発作)などを主徴とする精神疾患である。
  1. 疾患の頻度は高く、2005年の米国調査によると、生涯有病率は4.7%、わが国における05年の調査においても、12カ月の有病率は0.5%とされている。
 
診断: >詳細情報 
  1. パニック障害は、器質性のもの(心血管疾患、甲状腺機能亢進症やカフェイン乱用など)を除外し、下記の2つを確認することで診断となる。
  1. 1:再発性の“予期しないパニック発作”
  1. パニック発作の定義 >詳細情報 
  1. 2:少なくとも1カ月の間の予期不安(次の発作が起こることへの持続的不安、発作の意義や結果についての心配)と、発作と関連した行動上の変化(回避行動など)
  1. パニック障害と鑑別すべき主な器質性疾患:<図表>
 
重症度・予後: >詳細情報 
  1. パニック障害の経過は、その1/3が寛解に達するが、1/5は寛解に達せず、慢性の経過をたどり、エピソードの平均期間は6~8年ともいわれている。また、半数の患者では、最初の再発が起こるまでの期間は14.5週間以内とするデータもあり、再発性であることもパニック障害の臨床経過の特徴の1つとされる。
 
治療: >詳細情報 
  1. まずは患者に対し、パニック障害という心の病気であること、そして脳内の扁桃体を中心とした機能不全状態が病態仮説として考えられること、さらに、治療としては、①抗うつ薬や抗不安薬による薬物療法、②認知行動療法――があることを伝える。
  1. その後、患者のニーズに合った治療法を選んでもらう。
  1. 一般的には、まず抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)など)を投与にてパニック発作の消失、抗不安薬(ベンゾジアゼピン系抗不安薬など)投与にて予期不安の軽減を試みる。
  1. 薬物療法、認知行動療法がうまくいき、発症以前の行動に戻っている場合は、薬剤を減量、または中止することができる。

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

パニック発作の治療例
  1. パニック発作が初診時、認められる場合にも、器質性疾患の鑑別のための検査を行っている間に通常、発作は治まるので、特に治療的関与は必要ない。
  1. 点滴などの治療で、かえって、患者が「点滴で治った」と勘違いしてしまい、それ以降の治療に支障を与える可能性が高いため、可能な限り使用を避ける。
  1. パニック発作が長引く場合には、パニック障害の診断自体が怪しくなるが、どうしても止めるのであれば、ベンゾジアゼピン系抗不安薬であるアルプラゾラム(コンスタンなど)などを頓服で服用してもらい、30分ほど経過を観察する。
  1. パニック障害と確定診断できるか、あるいはその疑いが高いケースでは、発作が消失した後、薬物療法を施行する場合には、第1選択薬であるSSRI(パキシルなど)を処方する。
○ 器質性疾患など明らかな原因を除外できる場合には、下記の処方を考慮する。治療する場合には、1)を第1選択薬とするが、パニック発作が頻回であったり、予期不安が重篤な場合、2)を追加する。

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著者校正/監修レビュー済
2018/07/04


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