重症頭部外傷 :トップ    
監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院
瀬良誠 福井県立病院 救命救急センター

概要

ポイント:
  1. 重症頭部外傷とはGlasgow Coma Scale(GCS)8以下を来す頭部外傷を指し、頭部外傷の約10%を占める。
  1. 原因としては、転落:28%(0~4歳と75歳以上に多い)、交通事故:20%(15~19歳に多い)などが挙げられる。
  1. Glasgow Coma Scale(GCS):<図表>
 
診察: >詳細情報 
  1. 診察ではJATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)に準じ、primary survey(生理学的評価)、secondary survey(解剖学的評価)の順番に行っていく。
  1. 特にprimary surveyではABCDE(airway、breathing、circulation、dysfunction of CNS、exposure and environmental control)を念頭に致死的病態を評価し、A(airway)、B(breathing)、C(circulation)の蘇生に重点を置く。
  1. 頭部外傷では意識レベルの変化と瞳孔所見、四肢の左右差に特に注意して評価する。
  1. 重症頭部外傷の治療アルゴリズム:アルゴリズム
  1. バイタルサインが安定し、GCS≦8点、来院時よりGCSが2点以上低下、脳ヘルニア兆候を認める場合は、気管挿管し、脳外科医コール、そしてsecondary surveyの最初に、外傷全身CT(造影)を行う。
 
治療:
  1. 重症頭部外傷では二次性脳損傷を予防することに重点が置かれ、下記を回避することを目標とする。特に低血圧と低酸素は明らかな予後不良因子であるため、治療の際には細心の注意を要する。収縮期血圧下限閾値については90mmHgでは低すぎるという報告も多く、110~120mmHgを目標下限閾値としたほうがよい。
  1. 低血圧(収縮期血圧[SBP]<110mmHg)
  1. 低酸素(SpO2<90%)
  1. 低炭酸ガス血症(PaCO2<35mmHg)
  1. 発熱(BT>38℃)
  1. 凝固異常
  1. 貧血
  1. 高血糖
  1. 頭部挙上し、脳圧を低下させる。
  1. 低酸…

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

頭蓋内疾患の鑑別
  1. 頭蓋内疾患が硬膜外血腫、びまん性軸索損傷(DAI)、実質内出血、クモ膜下出血、硬膜下血腫のいずれなのかにより、緊急手術を含め後の管理が異なるため、早期に頭部CTによる鑑別を行う必要がある。
○ バイタルサインが安定しているのを確認し、早急に頭部CTを撮影する。
○ 頚椎CTも同時に評価する。

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リファレンス

img  1:  Guidelines for the Management of Severe Traumatic Brain Injury, Fourth Edition.
 
PMID 27654000  Neurosurgery. 2017 Jan 1;80(1):6-15. doi: 10.1227/NEU.0・・・
img  2:  New Zealand Guidelines Group. Traumatic brain injury: diagnosis, acute management and rehabilitation.
img  3:  Scottish Intercollegiate Guidelines Network. Early management of patients with a head injury may interest you.
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

重症頭部外傷の治療アルゴリズム
Glasgow Coma Scale(GCS)
外傷性クモ膜下出血
急性硬膜外血腫
急性硬膜下血腫
脳実質内出血
まん性軸索損傷(DAI)
急性硬膜外血腫
外傷性クモ膜下出血、脳挫傷
急性硬膜下血腫
著者校正/監修レビュー済
2018/07/04

編集部編集コンテンツ:
 
関連する医療事故:
  1. 頸髄損傷を認めるなど挿管困難が予想される場合はデバイスなどを準備しトラブルに備える:
  1. 事例:転落事故にて受傷。四肢麻痺を認め頚髄損傷と診断された。翌日の午後に呼吸状態悪化しSpO2が91%まで低下したため、気管挿管の適応と判断された。挿管困難であり、徐々にSpO2が50台まで低下し、一時心停止となった。開始から約45分後に気管挿管されたが、低酸素脳症を呈した。(詳細情報ページ:医療事故情報 詳細表示


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