こむらがえり・下肢つり・有痛性の筋収縮 :トップ    
監修: 庄司進一 筑波大学
石井一弘 筑波大学医学医療系神経内科学

概要

症状のポイント:
  1. 有痛性の筋収縮状態は、下腿三頭筋(腓腹筋)に最も多くみられ、これを“こむらがえり”という。または「筋(すじ)がつる」という。こむらがえりの頻度として、高齢者の大規模研究では50%以上が夜間筋けいれんを経験している。男女差はない。筋けいれんの発生頻度は年齢とともに増加し、高齢者を苦しめる疾患の1つである。
  1. 妊娠に関連して、33~50%の妊婦は筋けいれんを経験しており、週数が進むに連れて、症状が増悪する傾向にある。
  1. 子どもに起こる筋けいれんは7.3%にみられ、成人の筋けいれんと臨床所見が異なる。約2分間持続する筋けいれんを年に1~数回経験する程度である。
  1. 病態機序は必ずしも明らかでなく、伴う疼痛の原因も明確でない。
 
緊急対応: >詳細情報 
  1. 筋けいれんを主訴とする疾患で緊急対応が必要な診断として、水分電解質異常に伴う筋けいれん(日射病、脱水、副腎不全、低血糖、低・高カリウム血症、低・高カルシウム血症、低・高ナトリウム血症など)や破傷風がある。それぞれ診断、症状に従い治療を行う。
 
症状治療: >詳細情報 
  1. 非薬物療法:
  1. 筋けいれんを起こし得る基礎疾患の治療をまず第一に考える。次に薬剤性が疑われるのであれば、疑わしい薬剤を中止して筋けいれんの症状が軽減することを確認する。
  1. ストレッチ:
  1. 非薬物療法として、散歩、ストレッチ、マッサージが筋けいれん予防法として推奨される。ストレッチはアキレス腱から下腿後面を伸ばすよう指導し、1回10~30秒を数回、それを1日2~4回実施してもらう。筋けいれんの治療は筋けいれんを生じている筋を伸展させることで、速やかに回復させることが可能である。最も簡単な方法は、膝を伸ばしながら足を背屈させることである。
  1. 薬物療法:
  1. RCTの薬物療法で効果があると報告されたものはビタミンB群とシュウ酸マグネシウムである。妊婦ではマグネシウム塩が有用な可能性がある。
  1. 夜間のこむらがえりに対する薬剤:<図表>
 
診断へのアプローチ:(身体診察: >詳細情報 ・鑑別疾患: …

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

原因評価のための検査例
  1. 下記のアルゴリズムに沿って評価を行うとよい。
  1. 筋けいれんの診断アルゴリズム:アルゴリズム
  1. 生理的筋けいれんは、激しい運動後または安静時に誘発される数分で改善する下肢筋の筋けいれんが多い。これらの所見と異なる場合は、代謝性筋疾患やミオパチーなどの背景疾患を評価する。
  1. こむらがえりの原因疾患は多岐にわたり、生理的なもの、薬剤性、塩分喪失性、脊髄性(筋委縮性側索硬化症、球脊髄性筋委縮症[Kennedy-Alter-Sung症候群]、多発性硬化症など)、末梢神経性(糖尿病性ニューロパチー、尿毒症性ニューロパチー、アルコール性ニューロパチーなど)、筋性(McArdle病、垂井病、甲状腺機能低下性ミオパチー)、破傷風、血行不全性(夜間有痛性萎縮、有痛性間欠性跛行)、機能性(書痙など)、中毒性などである。(鑑別疾患: 鑑別疾患 )
  1. 痛みの持続時間、誘発時間、他の所見などを参考に背景疾患を絞り込み追加の評価を行う。
○ 原因評価が必要な場合はルーチンとして1)~9)を行う。妊娠を疑う場合は10)、筋疾患を疑う場合は11)、末梢神経障害を疑う場合は12)、多発性硬化症を疑う場合は13)14)、血行不全を疑う場合は15)を追加する。

追加情報ページへのリンク

  • こむらがえり・下肢つり・有痛性の筋収縮に関する詳細情報
  • こむらがえり・下肢つり・有痛性の筋収縮に関する評価・治療例(詳細) (1件)
  • こむらがえり・下肢つり・有痛性の筋収縮に関するエビデンス・解説 (1件)
  • こむらがえり・下肢つり・有痛性の筋収縮に関する画像 (3件)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)

筋けいれんの診断アルゴリズム
睡眠に関連する下肢筋けいれんの診断基準;the American Academy of Sleep Medicine (2005)
夜間のこむらがえりに対する薬剤
著者校正/監修レビュー済
2017/01/20