今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 福井俊哉 かわさき記念病院病院長・昭和大学神経内科部門客員教授

監修: 高橋裕秀 昭和大学藤が丘病院 脳神経内科

著者校正済:2024/10/16
現在監修レビュー中
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、下記の点を加筆した。
  1. 軽度アルツハイマー病症例の初回治療として抗アミロイドβ抗体が保険収載された。
  1. アミロイドのプロトフィブリルに対するモノクローナル抗体であるレカネマブ(lecanemab;商品名レケンビ)は、2023年12月に薬価収載され、2024年から実診療に用いられている。
  1. 適応は、アミロイドの脳内沈着が確認され、MMSEにて22点以上得点可能でCDR 0.5~1である、アルツハイマー病による軽度認知障害および軽度のアルツハイマー型認知症と診断された症例に限定される。
  1. 第3相臨床試験では18カ月で認知症状の進行を27%抑制したと報告されている。副作用として投与中のインフュージョンリアクション、治療開始6カ月以内に発現するARIA-E/H(amyloid-related imaging abnormalities-edema / hemorrhage:アミロイド関連画像異常-浮腫/出血)が生じうる(van Dyck CH, et al. N Engl J Med. 2023 Jan 5;388(1):9-21.)。
  1. 初回治療開始18カ月以降の治療継続に関する効果、副作用などに関する信頼度の高いエビデンスは現時点(2024年10月)では見当たらず、本邦における医療保険上の取り扱いも定まっていない。
  1. レカネマブに続き、同じく抗アミロイドβ抗体薬であるドナネマブ(donanemab:商品名ケサラン)も2024年9月24日に厚生労働省により製造販売が承認された。

概要・推奨   

  1. 脳内炎症は正常老化でも認められるが、アルツハイマー病(AD)ではその程度が高度でありその病態に深く関わる。
  1. NSAIDsがアミロイドβ(の細胞毒性に対して抑制作用を有することは細胞培養・動物実験で確認されている。ヒトではNSAIDsの慢性関節炎などに対する長期使用がADの発症遅延、症状進行抑制に有効であるという疫学的事実がある(推奨度2)
  1. Amnestic-MCI(aMCI)の14%、non-amnestic MCIの8%が1年間でADに転換するとの観点から、aMCIのAD転換予防は重要な課題である(推奨度2)
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
福井俊哉 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:高橋裕秀 : 特に申告事項無し[2024年]

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