今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 飯尾純一郎 熊本赤十字病院 集中治療科

監修: 藤谷茂樹1) 聖マリアンナ医科大学 救急医学

監修: 安宅一晃2) 奈良県立病院機構 医療専門職教育研修センター/奈良県総合医療センター 集中治療部 

著者校正/監修レビュー済:2024/02/21
患者向け説明資料

  1. 定期レビューを行い、以下について加筆・修正した。
  1. RASSの評価方法
  1. カフリークテストをクリア出来なかった際のアクション
  1. 赤血球輸血に対して2023年AABBガイドラインの中身の追記
 

概要・推奨   

  1. 刻一刻と治療内容が変化するICU診療において、バイタル、身体所見、各種検査、その日のin/outバランス、使用デバイス、使用薬剤などを毎日的確に把握する必要がある。
  1. ICUでのプレゼンテーション、カルテ記載はby problemではなく、by systemで行う。
  1. by systemは、①神経、②循環、③呼吸、④消化管 肝臓 栄養、⑤腎臓 電解質、⑥内分泌、⑦血液 凝固、⑧感染症、⑨予防、⑩To Doの順に行う。

病態・疫学・診察 

はじめに  
  1. ICU入院患者は、Problem list形式で、評価していくと、多くの臓器障害を伴っているため、見逃してしまう危険性が高い。そのため、システムベースで、評価とプランを系統的に立てていく必要がある。
  1. ICUに入室してくるパターンとして、一般病棟から、院内急変で、手術後、ER/一般外来から重症患者がある。新たに入室した患者の評価ではなく、少なくとも前日評価している患者をどのような手順で診ていくかを本稿では扱うことにする。

各論 

朝、出勤して真っ先に確認する項目  
ベッドサイドにて(2-3分での評価):
  1. すばやく担当患者観察の状況を把握する。
  1. Eye ball (パッと見ること)
  1. 輸液ボトル、昇圧剤、ドレーン、人工呼吸器セッティング、その他どのようなデバイスが接続されているか。
  1. ABCDの評価
  1. A:気管挿管中でもチューブの深さ、閉塞の有無の確認を行う。
  1. B:人工呼吸器の設定、SpO2、呼気終末CO2濃度の値、呼吸器との同調性、聴診での左右差を確認する。
  1. C:昇圧剤とモニターの血圧、脈拍、末梢循環の確認をする。
  1. D:GCSの確認を、部門システム上で確認をする。
 
夜勤看護師とオンコール医師から:
  1. 夜間に起きたイベントはとても重要な情報であるので、部門システム上で確認をするのと同様に必ず手短でいいので情報を聞き出しておく。
  1. 例として、出血量、せん妄にて薬剤投与、SpO2の低下、利尿剤の投与などがある。
 
客観的所見のデータ収集:
  1. バイタルサイン
  1. 身体所見
  1. I/O バランス
  1. 栄養
  1. 輸液
  1. ドレーン
  1. 利尿
  1. 生体index
  1. モニター類の数値
  1. デバイス
  1. 人工呼吸器
  1. 腎代替療法(RRT)
  1. スワンガンツの数値、大動脈内バルーンパンピング(IABP)の設定
  1. その他デバイス
  1. 検査値
  1. 薬剤
 
ICU daily progress note

毎日のICUでのcheck項目を一覧にしたプログレスノート。

出典

聖マリアンナ医科大学 藤谷茂樹先生ご提供
 
By system:
  1. Problem basedなアセスメントにすると漏れが出てくることがあるので、ICUではSystem basedにプロブレムを列挙し、それぞれに対してアセスメントとプランを立てる。
  1. また共通認識のフォーマットとしても利用可能であり、他職種、新規ローテーターでも同様の管理ができる点からSystem basedな管理が望ましい。上記に示した客観的データを元に、システムごとにアセスメントとプランを立てて方針を確認するプロセスである。
神経  
意識の評価:
  1. 意識障害の原因については他項(意識障害)に譲る。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光および日本医科大学多摩永山病院 副薬剤部長 林太祐による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※同効薬・小児・妊娠および授乳中の注意事項等は、海外の情報も掲載しており、日本の医療事情に適応しない場合があります。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適応の査定において保険適応及び保険適応外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適応の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
飯尾純一郎 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:藤谷茂樹 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:安宅一晃 : 未申告[2024年]

ページ上部に戻る

ICUルーチン

戻る