今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

著者: 伊藤光泰 名駅前診療所保健医療センター

監修: 平田結喜緒 公益財団法人 兵庫県予防医学協会 健康ライフプラザ

著者校正/監修レビュー済:2024/04/03
参考ガイドライン:
  1. 日本甲状腺学会:甲状腺疾患診断ガイドライン2013 慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン
患者向け説明資料

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、潜在性甲状腺機能低下症を合併した橋本病の症例について追記した。
  1. 症例では年齢も考慮して無治療で経過観察とした。潜在性甲状腺機能低下症では年齢を考慮して治療の可否を判断する。橋本病とバセドウ病の鑑別には、血液中の抗甲状腺抗体(抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体、抗TSH受容体抗体)を測定して判断する。

概要・推奨   

  1. 橋本病の診断には甲状腺超音波よりも血中抗甲状腺抗体の測定が重要である(推奨度1、O)
  1. 橋本病による甲状腺機能低下症に対して食事中のヨードを制限すると甲状腺機能低下症が改善するので、ヨード過剰が疑われる場合にはまずヨード制限をすることが勧められる(推奨度1、R)
  1. 750μg/日以上のヨード摂取は、特に甲状腺機能低下症境界領域にある患者には有害な作用をもたらす。マイクロゾーム(TPO)抗体陽性の人はヨードの摂取を控えるように勧める(推奨度1、Rs)
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  1. 甲状腺機能低下症に対するL-T4補充療法をL-T3とL-T4の併用に切り替えても健康感、認知機能への効果は変わらないので、変更する必要はない(推奨度3、Rs)
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  1. 甲状腺自己免疫は甲状腺機能低下症あるいは不妊に関連するので、甲状腺疾患の既往あるいは家族歴のある場合、甲状腺腫のある場合、ほかの自己免疫疾患のある場合、不妊あるいは甲状腺疾患を疑う症状・所見がある場合には、甲状腺自己抗体と血清TSHとFT4の測定が推奨される(推奨度2、O)。ただし、スクリーニング検査と介入治療までは現時点で推奨されていない(推奨度3、O)
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  1. L-T4は食事の影響を受けにくい早朝空腹時が望ましい(推奨度2、R)
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病態・疫学・診察 

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 橋本病とは、甲状腺の自己免疫疾患の一種で、自己抗体とリンパ球湿潤を伴う組織破壊を認める疾患である。
  1. 橋本病は、びまん性の甲状腺腫を認め、血液検査で自己抗体である抗甲状腺マイクロゾーム〔または甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)〕抗体か、抗サイログロブリン抗体が陽性であることにより診断する。
  1. 抗体が陰性であっても、細胞診でリンパ球浸潤を認めることにより診断することもできる。
  1. びまん性甲状腺腫大は、 バセドウ病 など他の原因が認められないことを確認しておく。
  1. 甲状腺腫または、甲状腺機能低下症の症状を認める患者の初診時のフローチャート:アルゴリズム
  1. 疾患の頻度は高く、わが国においては50歳以上の女性で20%以上にみられるとされる。米国の調査では5.1%とされる。女性は男性の3.7~12.5倍と、頻度が高い。
  1.  甲状腺機能低下症 を合併することもあり、合併例ではこれも診断し、併せて治療を開始することが勧められる。
  1. 甲状腺機能が正常であっても、妊娠・出産を契機に一過性あるいは永続性に甲状腺機能低下症や 甲状腺機能亢進症 を発症することがあるので、妊娠・出産の可能性があるときには経過を見ることが勧められる。
  1. 甲状腺機能が正常でも、加齢とともに低下症になっていくことがあるので、定期的に診断し、経過観察することが勧められる。
  1. ヨードの過剰摂取により 甲状腺機能低下症 になりやすいので、日常生活の指導を行うことが勧められる。
  1. 抗甲状腺自己抗体(特に抗TPO抗体)陽性例では妊娠中の合併症に注意する。
  1. 潜在性甲状腺機能低下症は妊娠時合併症を生じやすいので、妊娠前にTSHは2.5を超えないようにする。
 
  1. 甲状腺自己免疫は甲状腺機能低下症と関連し流産、早産などの合併症に関連するので、抗甲状腺自己抗体陽性の妊娠では流産や早産に注意が必要である(推奨度2)
  1. 研究背景:甲状腺自己免疫と流産に関する多くの観察研究がある。これらの研究は、流産例は甲状腺自己抗体の陽性者が陰性者より明らかに多いことを示している。
  1. 研究事例:Poppe KとGlinoer Dは1990年から2001年の13の報告を検討し、12の報告で、流産例は甲状腺自己抗体陽性例が陰性例より多いことを示した。13の報告のうち10の報告では統計学的に有意な差であった[1]。一方、抗甲状腺抗体陽性あるいはTSH2.5 mIU/L以上の潜在性甲状腺機能低下症は影響しないとする報告もある。Negroらの報告ではL-T4治療で甲状腺機能正常者は甲状腺機能正常の抗体陽性者および対照群と流産率に差がなかった[2]
  1. 結論:甲状腺自己抗体が陽性の妊娠では流産に注意する。流産を繰り返す症例では甲状腺自己抗体の測定が有用である。
 
  1. 妊娠初期の潜在性を含む甲状腺機能低下症と抗甲状腺自己抗体の存在は妊娠合併症を伴いやすいので、TSHを含めて甲状腺機能を正常に保つことが勧められる(推奨度1、S/C)
  1. 研究背景:母体と胎児が甲状腺機能低下症であることは胎児に重篤な障害を生じる。甲状腺自己免疫は妊娠中に早産などの合併症を生じやすい。
  1. 研究事例:Negro Rらは984例の妊婦を対象に、11.7%の抗TPO抗体陽性例を無作為に2群に分けL-T4投与群(57例)と非投与群(58例)および抗体陰性群で妊娠中の合併症の発生率を前向き試験で調べた。抗TPO抗体陽性群は陰性群よりTSH値が高かった。L-T4投与群は非投与群に比べてTSHが低くなり、合併症の発生率も低く抗体陰性群と同様であった[3]
  1. Van den Boogaard Eらは43の論文のシステマチックレビューとそのうちの38をメタ解析して、妊娠初期の潜在性甲状腺機能低下症では妊娠高血圧症候群のオッズ比が1.7(95%CI:1.1~2.6)、周産期死亡率のオッズ比が2.7(95%CI:1.6~4.7)と高いことを示した[4]。メタ解析では、抗甲状腺自己抗体の存在は説明不可能な受胎力の低下(オッズ比1.5、95%CI:1.1~2.0)、流産(オッズ比3.73、95%CI:1.8~7.6)、習慣流産(オッズ比2.3、95%CI:1.5~3.5)、早産(オッズ比1.9、95%CI:1.1~3.5)、母体の分娩後甲状腺炎(オッズ比11.5、95%CI:5.6~24)とリスクを高めることを示した。
  1. 結論:妊娠中の甲状腺機能低下症は、たとえ潜在性であっても避けるべきである。妊娠前にTSHは2.5 mIU/Lを超えないようにしておくべきである。抗TPO抗体陽性例にL-T4を投与することで妊娠に伴う合併症の発症率を抑えることができる。
 
  1. 抗TPO抗体陽性の妊婦は出産3~6カ月後に血清TSHを測定すべきである(推奨度1、S/CS)
  1. 研究背景:抗甲状腺自己抗体のある妊婦は出産後に甲状腺機能異常を起こす頻度が高い。
  1. 研究事例:抗TPO抗体陽性の妊婦は出産後甲状腺機能異常を起こす頻度が高いので血清TSHを測定する。1型糖尿病の妊婦も出産後甲状腺機能異常を起こす頻度が一般妊婦より3倍高い。出産後甲状腺機能異常の既往を有する妊婦は5~10年後の間に永続性の甲状腺機能低下症をおこす頻度が高い。
  1. 結論:抗TPO抗体陽性、1型糖尿病、および出産後甲状腺機能異常の既往のある妊婦は出産3~6カ月後に血清TSHを測定すべきである。
 
  1. 橋本病による甲状腺機能低下症に対して食事中のヨードを制限すると甲状腺機能低下症が改善するので、ヨード過剰が疑われる場合にはまずヨード制限をすることが勧められる(推奨度1、R)
  1. 研究背景:過剰なヨード摂取が橋本病において甲状腺機能低下症を引き起こすことが知られている。
  1. 研究事例:Yoon SJらは橋本病の患者を2群に分け、1群は100μg/日以下のヨード制限食にして、もう1群はヨード制限なしとしたところ、3カ月後にヨード制限食の群では78.3%に甲状腺機能の改善がみられた[5]
  1. 結論:橋本病による甲状腺機能低下症では、ヨード制限により甲状腺機能が回復する。制限前にTSHが低く尿中ヨードが高い患者は、回復する可能性が高いのでヨード制限が勧められる。
  1. 追記:妊娠可能な女性の平均ヨード摂取量は150μg/日が推奨されている。妊娠および授乳期には平均250μg/日の摂取が推奨されている。
 
  1. 橋本病では血清25-水酸化ビタミンDの低下がみられ、ビタミンD の投与により血清TSHと抗サイログロブリン抗体の低下がみられるため血清25-水酸化ビタミンDの測定を考慮する。
  1. 研究背景:ビタミンDが免疫応答に関与することが知られるようになり自己免疫疾患である橋本病と血清ビタミンDとの関連の研究についてメタ解析された。
  1. 研究事例:Stefanic Mらは26の橋本病における血清25-水酸化ビタミンDの研究をメタ解析して25について低下を認めた[6]
  1. 結論:血中25-水酸化ビタミンDは橋本病と関連性がある。
  1. 追記:Chahardoli Rらは橋本病に5万国際単位のビタミンDまたはプラセボを投与して甲状腺機能と抗甲状腺抗体を測定した無作為2重盲検試験を行った。ビタミンDの投与により血清TSHと抗サイログロブリン抗体の低下がみられたが抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体には変化がなかったためビタミンDによる橋本病の病態への影響はまだ結論が出ていない[7]
 
  1. 橋本病の一部にIgG4陽性細胞が甲状腺内に浸潤したIgG4関連疾患とされる慢性甲状腺炎があり乳頭癌の合併が多いことに注意する。
  1. 研究背景:IgG4関連疾患の中にRiedel甲状腺炎に類似した橋本病の所見を呈するものがありその臨床像が検討された。
  1. 研究事例:Li YらはIgG4陽性細胞を有する橋本病を対象例と比較して男性に多く、機能低下症への進行が強く、超音波像で低エコー像が強いこと、抗体価が高いことを認め[8]、Yu YらはIgG4陽性橋本病では乳頭癌の合併が多いことを認めた[9]
  1. 結論:橋本病の一部にIgG4関連甲状腺炎があり異なる臨床像を呈する。症例数が少ないためより多くの検討が必要である。
病歴・診察のポイント  
  1. 耐寒性低下、体重増加、便秘、月経不順など不定愁訴と間違えやすい症状が多いので注意する。

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薬剤監修について:
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
伊藤光泰 : 特に申告事項無し[2024年]
監修:平田結喜緒 : 特に申告事項無し[2024年]

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