若年性特発性関節炎(小児科) :トップ    
監修: 渡辺博 帝京大学医学部附属溝口病院
鹿間芳明 神奈川県立こども医療センター 感染免疫科

概要

疾患のポイント:
  1. 若年性特発性関節炎(JIA)とは、16歳未満の小児に発症する原因不明の慢性関節炎である。
  1. 全身型は、2週間以上持続する39℃以上の弛張熱、リウマトイド疹(瘙痒を伴わない紅斑)、1カ所以上の固定性関節炎、関節外症状(リンパ節腫脹、肝脾腫、心膜炎)を特徴とする。
  1. 少関節型は、4カ所以下の関節炎で、6歳以下の女児に多い。関節予後はよいが、抗核抗体陽性例は虹彩毛様体炎の合併率が高い。
  1. 多関節型は、5カ所以上の関節炎で、リウマチ因子(RF)が陽性か陰性かによってさらに分類される。リウマチ因子が陽性の例は関節予後が悪い例が多い。
  1. 全身型若年性特発性関節炎は、指定難病であり、重症例などは、申請し認定されると保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年1月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 
 
診断: >詳細情報 
  1. 6週間以上続く固定性の関節炎で他の膠原病や感染症、悪性腫瘍、整形外科的疾患等が除外できれば、JIAと診断できる。 エビデンス 
  1. 検査所見は、赤沈亢進やCRP陽性などの非特異的炎症反応を呈する。RF陽性は少数であるが、陽性例は関節予後の悪い例が多い。また抗核抗体も必ずしも陽性にならないが、抗核抗体陽性の少関節型ではぶどう膜炎の合併に注意が必要である。
  1. 骨関節X線では早期病変を検出できず、MRIによる滑膜炎の検出が最も鋭敏である。 エビデンス 
 
合併疾患の評価: >詳細情報 
  1. 少関節型ではぶどう膜炎の合併に注意が必要である。全身型で最も重要な合併症が全身の臓器障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)を来すマクロファージ活性化症候群(MAS)である。  …

評価・治療の進め方

※選定されている評価・治療は一例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

診断のための検査評価例
  1. 小児で原因不明の慢性関節炎を認めた場合にJIAが疑われる。全身型の場合は関節症状よりも発熱(弛張熱)が前面に出ることが多い。
  1. JIAを診断するうえで特異的な検査はない。末梢血、凝固検査、一般生化学、炎症反応、免疫グロブリン、補体価、尿検査、胸腹部単純X線、心電図などの基本的な検査を行い、見落としがないようにする。
  1. 炎症反応が亢進することが多いが、必ずしも陽性になるとは限らない。慢性炎症の指標としてはCRP値より赤沈のほうがしばしば有用である。
  1. 全身型では白血球数、CRP値、赤沈、血清アミロイドA(SAA)等の炎症マーカーが著明に高値になる。さらに進行してマクロファージ活性化症候群(MAS)を発症すると、汎血球減少、DIC、AST・LDH・CKなど逸脱酵素の上昇、トリグリセリドの上昇、フェリチンの著明な上昇が出現する。
  1. 抗核抗体は他の膠原病のスクリーニングとして、また特に少関節型ではぶどう膜炎(虹彩毛様体炎)のリスクを評価するうえで必要な検査項目である。
  1. リウマチ因子(RF)は変性ヒトIgG分子のFc部分に対する自己抗体である。JIAにおけるRF陽性率は15~20%で成人の関節リウマチに比べると低率であるが、特異度は高く診断的価値が高い。
○ 関節型JIAの場合、9)と10)はルーチンでチェックする。
関節炎の指標として1)、3)、5)に加えて11)をチェックする。
治療開始前の全身評価として、少なくとも1)、4)、6)、12)、14)はルーチンで行う。
ステロイドや免疫調節薬、生物学的製剤による治療開始前には、19)を行う。
全身型が疑われる場合、1)、2)、4)のこまめなチェックに加え、病勢把握のために8)と13)の推移もチェックする。
全身型が疑われる場合、14)および15)に加えて16)、17)、18)を施行する。
SLE等他の膠原病との鑑別のために、9)や7)をチェックする。

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sJIA治療アルゴリズム
全身型以外のJIA治療アルゴリズム
JIA患者の膝関節Gd造影MRI像
RF陽性多関節型JIA女児における単純X線像の変化
全身型JIAにみられるリウマトイド疹
若年性特発性関節炎の分類基準
著者校正/監修レビュー済
2016/08/05


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