人工呼吸器の設定

著者: 加藤之紀 JA広島総合病院 救急・集中治療科

監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院

著者校正/監修レビュー済:2020/06/02
参考ガイドライン:

概要・推奨  

  1. 人工呼吸器管理は人体にとっては非生理的なものであり、陽圧換気による肺損傷等を最小限にするように設定を行い、可能な限り早期の離脱を図ることが重要である。
  1. 気管内挿管・人工呼吸器管理の適応は、①誤嚥や窒息を防ぐための気道確保、②酸素化、換気の障害、③呼吸仕事量と呼吸筋力の不均衡であり、SpO₂の値のみではその適応可否は判断できない。
  1. 酸素化の指標である動脈酸素分圧(PaO₂)は平均気道内圧と吸入酸素濃度(FiO₂)に比例し、換気の指標である動脈二酸化炭素分圧(PaCO₂)は分時換気量(一回換気量×呼吸回数/分)に反比例する。そのため呼吸器の設定変更ではどちらを改善するために行っているのか常に意識をすることで混乱を防ぐことができる。
  1. 人工呼吸器管理の合併症では気管挿管チューブの閉塞や気胸など設定の変更では根本的な改善が望めないものも多いため、患者自身の観察を怠らず、緊急時には設定の変更での対応ではなく人工呼吸器から外してバッグバルブマスクなどで用手的に換気することも重要である。
《一般的な呼吸器設定について》
  1. 換気の行う方法として、大きく分けると①換気量を設定して決められた量を換気する従量式換気(Volume-Control Ventilation:VCV)②呼吸器からかける圧を決定してその圧力の分肺を換気する従圧式換気(Pressure-Control Ventilation:PCV)の2つがあるが、呼吸不全に対してそのどちらが優れているかなどの明確な推奨はない。
  1. 呼吸不全患者の一回換気量は6~8mL/㎏(予測体重計算)に制限することが推奨される。疾患がARDSであれば6mL/kg以下に制限することが推奨される(推奨度1)
  1. 人工呼吸器管理において、プラトー圧は30㎝H2O以下に制限することが推奨される(推奨度1)
  1. 吸入酸素濃度は、組織酸素需要に応じることができる最低限SpO₂では90~96%程度を目標に設定する(推奨度2)
  1. 人工呼吸器管理においてはPEEPの設定が推奨されるがその明確な設定方法は確立していない。
ARDS…
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 片山志郎 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
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(詳細はこちらを参照)

改訂のポイント:
●定期レビューを行い、FiO₂、PEEP、換気量の設定等について加筆修正を行った。


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